中古車の陸送費用は、運ぶ距離だけでなく、車の大きさ、自走できるかどうか、引取りと納車の場所、日程の余裕で決まります。仕入れた車を店まで運ぶ費用は、そのまま1台あたりの原価に乗るため、仕入れ値と同じくらい気にかけたい数字です。この記事では、業者間取引で仕入れた中古車を運ぶときの方法の違い、費用が変わる条件、車検切れの車を動かすときの手続き、輸送を頼む手順を、法令とQuick×Quickの利用規約をもとに整理します。
この記事で確認した一次情報:道路運送車両法(第34条 臨時運行の許可、第35条 許可基準等、第36条の2 回送運行の許可)、自動車損害賠償保障法 第5条(e-Gov法令検索)、Quick×Quickサービス利用規約(2026年9月1日制定)、Quick×Quickのログイン画面の案内。確認日は2026年10月です。陸送の料金は依頼先ごとに違うため、金額は記載していません。
中古車の陸送とは(積載車・自走回送・輸送サービス)
中古車の陸送とは、仕入れ先や会場から自社の店舗、または販売先まで、車を公道で移動させることを指します。運び方は大きく3つに分かれます。1つ目は積載車(キャリアカーやセルフローダー)に載せて運ぶ方法で、車検が切れた車や動かない車も運べます。2つ目は運転手が車を運転して届ける自走回送で、車検と自賠責保険が有効な車か、臨時運行許可や回送運行許可を受けた車が対象です。3つ目は、オークション会場や業者間取引サービスが用意している輸送サービスに依頼する方法で、引取りの段取りを会場や運営会社の手順に乗せられます。どの方法でも、費用は1台ごとの原価に加わります。仕入れの判断をする時点で、運ぶ方法と大まかな費用を見込んでおくと、利益の計算がずれにくくなります。
| 運び方 | 向いている車 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 積載車で運ぶ | 車検切れの車、不動車、低い車高の車 | 積み下ろしの場所と時間の指定、補償の範囲 |
| 自走で回送する | 車検と自賠責保険が有効で、走行に支障のない車 | 走行距離が増える、運転手の手配、高速代や燃料代の負担 |
| 輸送サービスに依頼 | 会場や業者間取引で仕入れた車 | 依頼の締切、引取り期限、料金の確認方法 |
陸送費用が変わる6つの条件
陸送費用は、運ぶ距離、車のサイズと重量、自走できるか、引取りと納車の場所、日程、付帯作業の6つで変わります。同じ区間でも、軽自動車とワンボックスでは積載車に載る台数が違い、1台あたりの負担が変わることがあります。エンジンがかからない車やタイヤが回らない車は、ウインチでの積込みや専用の車両が要るため、条件をはっきり伝えないと当日に追加料金が出る原因になります。引取り先が業者オークションの会場か、個人宅か、離島かによっても段取りは大きく違います。日程に余裕があれば、ほかの車と同じ便にまとめられる場合があります。公的な料金表は無いので、見積もりは条件をそろえて複数取るのが確実です。
| 条件 | 費用に効く理由 | 見積もりで伝えること |
|---|---|---|
| 距離と区間 | 走行距離と運転手の拘束時間が増える | 引取りと納車の住所、高速道路やフェリーの有無 |
| 車のサイズと重量 | 積載車に載る台数と車両の種類が変わる | 車名、型式、全長と車高、改造の有無 |
| 自走できるか | 不動車は積込みの作業と機材が要る | エンジン始動の可否、タイヤやブレーキの状態 |
| 引取りと納車の場所 | 会場の搬出手順や個人宅の道幅で段取りが変わる | 会場名、出庫番号、受取人と連絡先 |
| 日程 | 急ぎの便は混載しにくい | 引取り期限と希望の到着日 |
| 付帯作業 | 保管、洗車、書類の同送などで手間が増える | 鍵と書類の受け渡し方法、保管の要否 |
仕入れの候補を比べる段階では、車両の価格に陸送費と名義変更の費用を足した「店に並ぶまでの総額」で比べると判断がぶれません。共有在庫で全国の車を見られるようになると、遠方の安い車が候補に入ってきます。その車が近くの車より本当に得かは、運ぶ費用を入れて初めて分かります。共有在庫の仕組みは中古車の共有在庫とはで解説しています。
車検切れの車を自走させるときの臨時運行許可と回送運行許可
車検の切れた車や登録を抹消した車を自走で動かすには、臨時運行の許可か回送運行の許可が要ります。道路運送車両法第34条は、臨時運行の許可を受けた車を、許可証に書かれた目的と経路に従って運行するときに限り、登録や車検の規定を適用しないと定めています。許可は地方運輸局長と、市や特別区の長、政令で定める町村の長が行い、第35条により有効期間は原則5日を超えられません。期間が終わったら5日以内に許可証と番号標を返します。回送を業とする者は、第36条の2の回送運行の許可(有効期間は5年以内)を受けて、業務として回送する車を走らせられます。どちらの場合も、自動車損害賠償保障法第5条により、自賠責保険か共済の契約がない車は運行できません。仮ナンバーの申請先と必要書類は自治体ごとに案内が違うため、事前に窓口で確かめてください。
| 制度 | 根拠 | 使う人と場面 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 臨時運行の許可(仮ナンバー) | 道路運送車両法 第34条・第35条 | 車検切れの車を登録や検査のために回送するときなど | 目的と経路が許可証のとおり、有効期間は原則5日以内 |
| 回送運行の許可 | 道路運送車両法 第36条の2 | 地方運輸局長の許可を受けた回送業者 | 番号標の表示と許可証の備付け、有効期間は5年以内 |
| 自賠責保険の契約 | 自動車損害賠償保障法 第5条 | 公道を運行するすべての車 | 契約がない車は運行の用に供してはならない |
自走より積載車が向く場面
車検切れの車を自社で自走させるには、仮ナンバーの申請と自賠責の手当てが必要で、走行中の故障にも対応しなければなりません。仕入れたばかりの車は整備の履歴が分からないことも多いため、距離が長い場合や車の状態が読めない場合は、積載車で運ぶほうが手間と危険を減らせます。
業者間取引で仕入れた車の陸送を手配する流れ
業者間取引で車を仕入れたあとの陸送は、契約の確定から到着後の確認まで6つの段階で進めると漏れが出ません。最初に確かめるのは引取りの期限で、オークション会場や出品店によっては、期限を過ぎると保管料がかかったり、引取りの段取りが組み直しになったりします。次に、車検の有無と自走の可否を確かめ、積載車にするか自走にするかを決めます。見積もりでは、引取りと納車の住所、車名と型式、不動車かどうか、鍵と書類の受け渡し方法をまとめて伝えます。引渡しのときは外装の写真を残し、到着時にメーター、傷、付属品を確かめてから受領します。名義変更の書類を車と同送するかどうかも、この段階で決めておきます。
1. 契約の確定と引取り期限の確認
落札や商談の成立後、会場や出品店が定める引取り期限と搬出の方法を確かめます。
2. 運び方の決定
車検と自賠責の有無、エンジン始動の可否から、積載車か自走かを決めます。
3. 見積もりと依頼
区間、車名と型式、車の状態、希望日を伝えて見積もりを取り、依頼先を決めます。
4. 鍵と書類の段取り
鍵の受け渡し方法と、譲渡証明書などの書類を車と同送するか別送するかを決めます。
5. 引渡し時の記録
引取りのときに外装と内装、メーターの写真を撮り、伝票の記載と照らします。
6. 到着時の確認と受領
傷、走行距離、付属品を確かめてから受領します。気になる点はその場で伝えます。
車両の状態やキャンセルの扱いなど、業者間取引そのものの注意点は中古車の業者間取引で注意することにまとめています。名義変更の書類と手順は中古車の名義変更(移転登録)の流れで解説しています。
Quick×Quickの輸送依頼(Quick×輸送)
Quick×Quickでは、会員が車の輸送を運営会社のクイック・ネットワーク株式会社を通して有料で依頼できます。2026年9月1日制定の利用規約の別紙Aは「Quick×輸送」を、Quick×ワンプライスでの落札車両以外の車を、会員が指定した場所から引き取り、指定の場所まで届ける輸送に関わる業務を、運営会社を介して有料で依頼できるサービスと定めています。ログイン画面のメニューには「輸送依頼」があり、「WEBで簡単料金検索!」「オークション会場からの輸送も、個人宅への輸送もお任せください!」と案内されています。Quick×ワンプライスで落札した車の輸送代は、規約の別紙Cで、Quick会員は「通常価格」、月額18,000円(税別)のQuickプライム会員は「プライム会員価格」と区分されています。これらは一般向けの利用規約の区分で、実際の条件はお申込み時にご案内します。具体的な金額は規約に書かれていないため、ログイン後の料金検索で確かめてください。
| 項目 | 利用規約・ログイン画面の記載 | 確認の仕方 |
|---|---|---|
| Quick×輸送の対象 | Quick×ワンプライスでの落札車両以外の車を、会員指定の場所から指定の場所まで | 利用規約 別紙A |
| 料金 | 有料。WEBで料金を検索できる | ログイン後の輸送依頼メニュー |
| 引取り先の例 | オークション会場、個人宅 | ログイン画面の案内 |
| ワンプライス落札時の輸送代 | Quick会員は通常価格、Quickプライム会員はプライム会員価格 | 利用規約 別紙C |
仕入れと輸送、名義変更の依頼を同じ管理画面から進められると、車ごとの進み具合を追いやすくなります。サービス全体の機能はQuick×Quickとは、会員資格と料金は入会条件と申込方法で確かめられます。すでに会員の方はログイン方法のページから管理画面に入れます。
陸送の見積もりを比べるときの確認項目
陸送の見積もりは、総額だけでなく、何が料金に含まれているかをそろえて比べます。確認したいのは、高速道路やフェリーの代金が含まれるか、不動車の積込みに追加料金がかかるか、指定日に届かなかったときの扱い、事故や傷の補償の上限、キャンセル料の発生時期の5点です。安い見積もりでも、引取り日を依頼先の都合に合わせる条件が付いていると、店頭に並べる日が遅れて販売の機会を逃すことがあります。逆に急ぎの便は割高になりやすいので、仕入れの段階で販売開始日から逆算して日程に余裕を持たせると、費用を抑えやすくなります。毎月の仕入れ台数が多い店は、依頼先を固定して条件を取り決めておく方法もあります。
- 高速道路、フェリー、燃料の代金が料金に含まれるか
- 不動車や車高の低い車に追加料金がかかるか
- 到着日の目安と、遅れたときの連絡方法
- 輸送中の事故や傷の補償範囲と上限
- キャンセル料がいつから発生するか
Quick×Quickの入会申込
Quick×Quickの会員になると、全国の共有在庫からの仕入れに加えて、輸送依頼や名義変更依頼を管理画面から進められます。入会の申込は日本カーネットが受け付け、手続きをご案内します。
よくある質問
- 中古車の陸送費用に相場はありますか?
- 公的な相場表はありません。料金は運ぶ距離、車の大きさと重さ、自走できるかどうか、引取りと納車の場所、希望する日程で変わるため、同じ区間でも業者や時期によって違います。見積もりを取るときは、これらの条件をそろえて複数の依頼先に出すと比べやすくなります。
- 車検が切れた車を自走で運んでもよいですか?
- 車検の切れた車は、そのままでは公道を走れません。道路運送車両法第34条と第35条にもとづく臨時運行の許可(いわゆる仮ナンバー)を受け、許可証に書かれた目的と経路で運行する方法があります。有効期間は原則5日以内です。自賠責保険の契約も必要なので、積載車で運ぶほうが手続きは少なく済みます。
- 業者オークションで落札した車の輸送はどう手配しますか?
- 会場ごとに引取りの期限や搬出の方法が決まっているため、落札後すぐに会場の規定を確認し、輸送の依頼先に引取り場所と期限を伝えます。Quick×Quickのログイン画面の案内では、輸送依頼についてオークション会場からの輸送も個人宅への輸送も扱うと書かれています。
- Quick×Quickの輸送依頼は会員でないと使えませんか?
- Quick×Quickの「Quick×輸送」は、利用規約の別紙Aで会員向けのサービスとして定められています。入会には古物商許可証(自動車)などの会員資格が要ります。料金は有料で、ログイン後にWEBで検索できる案内になっています。
- 陸送中に車が傷ついたときの補償はどうなりますか?
- 補償の範囲と申告の期限は依頼先の約款で決まります。依頼前に約款の補償の項目を読み、引渡しのときに外装の写真を残しておくと、到着時の確認で話が早くなります。到着後は、その場で傷とメーター、付属品を確かめてから受領のサインをしてください。
- 中古車の仕入れと、整備・車両販売の管理はまとめて考えたほうがよいですか?
- 仕入れた車を販売し、納車前の整備や車検まで行う店では、仕入れの経路だけでなく、車両販売システム(車販ソフト)や自動車整備システム(自動車整備ソフト)で在庫と顧客を管理できるかも確かめると二重入力が減ります。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなし(月払)で始められるかも確認してください。
参考にした一次情報
- 道路運送車両法(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
- 自動車損害賠償保障法(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/330AC0000000097
- 国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイト(売買等により譲渡、譲受する手続き):https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/jidousha/kensatoroku/transfer/index.html
- Quick×Quickサービス利用規約(2026年9月1日制定):https://www.919919.jp/avn/PDF/quickquick_userpolicy.pdf
- Quick×Quick ログイン画面(manager.919919.jp):https://manager.919919.jp/







