中古車輸出の動向は、国内で中古車を売る店にとっても無関係ではありません。輸出向けの需要が強い車種は、業者オークションや共有在庫で輸出業者も買い手に回るため、仕入れ値の動きに表れるからです。この記事では、クイック・ネットワーク株式会社が毎月発行している「自動車業界動向」レポート(Quick×Quick)に載る「中古車輸出向け成約車輌ランキング」を2025年8月号から2026年7月号までの12号分並べ、上位の車種と平均年式、平均価格の動きを読み解きます。あわせて、日本全体の輸出台数と輸出先を財務省の貿易統計で調べる方法と、輸出の際の国内手続きも整理します。
この記事の数字の出典:自動車業界動向レポート(クイック・ネットワーク株式会社発行)各号の「中古車輸出向け成約車輌ランキング」(日本カーネットのバックナンバー要約で確認)。統計の調べ方は財務省 税関の貿易統計と輸出統計品目表、手続きは道路運送車両法(e-Gov法令検索)と軽自動車検査協会で確かめました。確認日は2026年10月です。日本全体の輸出台数や輸出先の数字は、この記事では扱っていません。
中古車輸出向けの人気車種(自動車業界動向レポート12号の集計)
自動車業界動向レポートの2025年8月号から2026年7月号までの12号で、中古車輸出向け成約車輌ランキングの上位5位に最も多く入った車種はトヨタのランドクルーザープラドです。12号すべてで5位以内に入り、そのうち8号で1位でした。次に多いのはマツダのCX-5(9号)、トヨタのハリアーとホンダのヴェゼル(各8号)、トヨタのRAV4(7号)で、上位はSUVがほぼ占めています。1位になったのはランドクルーザープラド(8号)、ハリアー(3号)、ランドクルーザー250(1号)の3車種だけです。ランドクルーザー250は、平均年式R6年、平均価格600万円前後で3号に顔を出しました。このランキングはQuick×Quickでの成約をもとにレポートが掲載しているもので、日本から輸出された中古車全体の順位を示す数字とは性格が違います。
| 車種 | 5位以内に入った号数(12号中) | 1位になった号数 |
|---|---|---|
| ランドクルーザープラド(トヨタ) | 12号 | 8号 |
| CX-5(マツダ) | 9号 | なし |
| ハリアー(トヨタ) | 8号 | 3号 |
| ヴェゼル(ホンダ) | 8号 | なし |
| RAV4(トヨタ) | 7号 | なし |
| ランドクルーザー250(トヨタ) | 3号 | 1号 |
| エクストレイル(日産)、フォレスター(スバル)、ライズ(トヨタ) | 各3号 | なし |
号別の中古車輸出向け成約車輌ランキング(2025年8月号〜2026年7月号)
号ごとの上位3車種を見ると、ランドクルーザープラドが1位を外れたのは2025年10月号、11月号(いずれもハリアーが1位)、2026年4月号(ハリアー)、2026年5月号(ランドクルーザー250)の4号だけです。2位と3位は号によって入れ替わりが大きく、CX-5、RAV4、ヴェゼル、ハリアーが交互に顔を出しています。2026年1月号ではフォレスターとスイフトが2位と3位に入り、平均価格120万円台の車種が上位に来た号もありました。括弧内はレポートに記載された平均年式と平均価格で、価格は円単位の記載を万円に直しています。レポートの要約には各号の対象月が明記されていないため、ここでは号の名前で並べています。カテゴリ別の成約車輌ランキングと平均落札価格は、各号のPDF本体に載っています。
| 号 | 上位3車種(平均年式・平均価格) |
|---|---|
| 2026年7月号 | 1位はランドクルーザープラド(R1年・367.0万円)、2位はCX-5(H29年・132.0万円)、3位はRAV4(R4年・289.5万円)でした |
| 2026年6月号 | 1位はランドクルーザープラド(H30年・366.3万円)、2位はRAV4(R3年・276.1万円)、3位はハリアー(H30年・204.7万円)でした |
| 2026年5月号 | 1位はランドクルーザー250(R6年・614.5万円)、2位はCX-5(H30年・145.0万円)、3位はランドクルーザープラド(R2年・399.5万円)でした |
| 2026年4月号 | 1位はハリアー(H30年・215.2万円)、2位はランドクルーザープラド(H30年・380.6万円)、3位はヴェゼル(R3年・230.1万円)でした |
| 2026年3月号 | 1位はランドクルーザープラド(R2年・421.9万円)、2位はヴェゼル(R2年・200.0万円)、3位はCX-5(R1年・168.3万円)でした |
| 2026年2月号 | 1位はランドクルーザープラド(R1年・436.7万円)、2位はハリアー(H29年・197.9万円)、3位はRAV4(R2年・269.4万円)でした |
| 2026年1月号 | 1位はランドクルーザープラド(R2年・431.2万円)、2位はフォレスター(H28年・129.0万円)、3位はスイフト(R3年・127.0万円)でした |
| 2025年12月号 | 1位はランドクルーザープラド(R3年・428.5万円)、2位はハリアー(H30年・194.8万円)、3位はヴェゼル(R4年・246.1万円)でした |
| 2025年11月号 | 1位はハリアー(H29年・185.7万円)、2位はRAV4(R4年・285.1万円)、3位はフォレスター(H30年・162.0万円)でした |
| 2025年10月号 | 1位はハリアー(H29年・176.3万円)、2位はエクストレイル(H30年・160.0万円)、3位はCX-5(H30年・130.5万円)でした |
| 2025年9月号 | 1位はランドクルーザープラド(H29年・380.0万円)、2位はCX-5(H30年・126.7万円)、3位はRAV4(R1年・251.9万円)でした |
| 2025年8月号 | 1位はランドクルーザープラド(H28年・360.8万円)、2位はRAV4(R2年・252.3万円)、3位はヴェゼル(R2年・204.5万円)でした |
各号の数字と、2020年5月号からの全号の推移は自動車業界動向レポートのバックナンバー要約で確かめられます。PDFは自動車業界動向の資料ページからダウンロードできます。
ランドクルーザープラドの平均年式と平均価格の推移
輸出向けで最も安定して上位に入るランドクルーザープラドは、号によって平均年式が平成28年から令和3年まで、平均価格が350万円台から430万円台まで動いています。2025年8月号では平均年式H28年で360.8万円、2025年12月号ではR3年で428.5万円、2026年2月号ではR1年で436.7万円と、年式が新しくなるほど平均価格も上がる関係がおおむね見て取れます。2026年6月号はH30年で366.3万円、7月号はR1年で367.0万円で、同じR1年でも2月号の436.7万円より約70万円低い水準でした。年式以外に、走行距離やグレード、成約した時期の需要でも価格は変わるため、1号の数字だけで相場の上下を判断しないほうが安全です。後継のランドクルーザー250は、2026年3月号で平均R6年・633.5万円、5月号でR6年・614.5万円、7月号でR6年・597.7万円でした。
| 号(いずれも1位の号) | 平均年式と平均価格 |
|---|---|
| 2025年8月号 | 平均年式はH28年で、平均価格は360.8万円でした |
| 2025年9月号 | 平均年式はH29年で、平均価格は380.0万円でした |
| 2025年12月号 | 平均年式はR3年で、平均価格は428.5万円でした |
| 2026年2月号 | 平均年式はR1年で、平均価格は436.7万円でした |
| 2026年3月号 | 平均年式はR2年で、平均価格は421.9万円でした |
| 2026年6月号 | 平均年式はH30年で、平均価格は366.3万円でした |
| 2026年7月号 | 平均年式はR1年で、平均価格は367.0万円でした |
2020年の号との比較(輸出向け車種の顔ぶれ)
レポートの初期の号と比べると、輸出向けの上位車種の顔ぶれは大きく変わっています。2020年の号の要約では、2020年7月号の1位がアトラストラック(平均年式H21年、51.1万円)、8月号がレクサスのRX(H21年、142.4万円)、10月号がキャリイトラック(H23年、43.8万円)、11月号がヴァンガード(H24年、369.8万円)でした。トラックや年式の古い車が1位に入る号があり、平均価格50万円前後の車が1位になった号もありました。2020年12月号でランドクルーザープラド(H17年、378.5万円)が1位に入り、2025年以降はSUVが上位を占める形に落ち着いています。2020年の号は掲載車種が2〜3位までの号も多く、比較の条件はそろっていない点に注意が要ります。号を並べると、1位の顔ぶれがトラックや年式の古い車を含む構成から、SUVを中心とする構成へ変わってきたことが分かります。
財務省貿易統計で中古車の輸出台数と輸出先を調べる方法
日本全体の中古車の輸出台数と輸出先は、財務省の貿易統計で調べられます。税関のサイトにある輸出統計品目表(2026年1月1日版)では、乗用自動車は第87.03項にあたり、エンジンの種類と排気量ごとに細かく分かれ、その下に「中古のもの」と「その他のもの」の統計番号が設けられています。たとえばガソリン車のうち排気量660cc以下の中古は8703.21-915、660ccを超え1,000cc以下の中古は8703.21-925、1,000ccを超え1,500cc以下の中古は8703.22-910です。貿易統計の品別国別表でこれらの番号を指定すると、国別の台数と金額を月ごと、年ごとに確かめられます。ディーゼル車(8703.31〜8703.33)や、ハイブリッド車などエンジンと電動機を積む車(8703.40以降)は別の号に分かれているため、中古車全体の台数を出すには、該当する中古の番号をすべて合算する必要があります。
| 統計番号 | 品目(輸出統計品目表の記載) |
|---|---|
| 8703.21-915 | ガソリン車、排気量660cc以下の中古のもの |
| 8703.21-925 | ガソリン車、660ccを超え1,000cc以下の中古のもの |
| 8703.22-910 | ガソリン車、1,000ccを超え1,500cc以下の中古のもの |
| 8703.23-915 | ガソリン車、1,500ccを超え2,000cc以下の中古のもの |
| 8703.23-925 | ガソリン車、2,000ccを超え3,000cc以下の中古のもの |
| 8703.24-910 | ガソリン車、3,000ccを超える中古のもの |
レポートと貿易統計の使い分け
貿易統計は、日本から輸出された車の台数と金額、輸出先の国を示します。車種名は分からないため、どの車が輸出向けに動いているかは、自動車業界動向レポートの成約ランキングのような業者間取引の数字で補います。2つを並べると、輸出の量と中身の両方を見られます。
中古車を輸出するときの国内手続き(輸出抹消仮登録)
登録自動車を輸出するときは、国内の登録を抹消する手続きが要ります。道路運送車両法第15条の2は、登録自動車の所有者がその車を輸出しようとするときは、輸出の予定日から国土交通省令で定める期間さかのぼった日から輸出の時までに、輸出抹消仮登録を申請し、輸出抹消仮登録証明書の交付を受けなければならないと定めています。軽自動車は軽自動車検査協会の手続きで、輸出予定届出証明書の交付申請と、その返納届出の手続きが案内されています。自社で仕入れた車を輸出業者に売る場合は、どちらが抹消の手続きをするか、書類をどの時点で渡すかを契約の段階で決めておくと行き違いが起きません。名義変更や抹消の書類の基本は中古車の名義変更(移転登録)の流れで解説しています。
国内の販売店が輸出動向を仕入れに生かすには
国内で小売をする店が輸出動向を見る目的は、仕入れで競り合う相手と価格の流れを知ることです。輸出向けの上位にSUVが並ぶ時期は、同じ車種を国内の小売向けに仕入れようとしても、輸出業者の買い値に引っ張られて仕入れ値が上がりやすくなります。反対に、輸出向けの需要が落ち着いた車種は、国内向けに仕入れやすくなることもあります。自動車業界動向レポートは、輸出向けランキングと同じ号に業者オークションの平均単価や新車販売台数ランキングも載せているため、1冊で国内と輸出の両面を確かめられます。2026年7月号では、6月の主要AA会場の平均単価が前年の101.5万円から116.9万円に上がっていました。実際の仕入れ値は、共有在庫やオークションで同じ年式とグレードの価格を見て決めてください。
Quick×Quickの共有在庫は、全国の会員が掲載した在庫から車を探して仕入れる仕組みです。サービスの概要はQuick×Quickとはで紹介しています。仕入れの経路ごとの違いは中古車の業販・仕入れルートの比べ方にまとめています。
Quick×Quickの入会申込
自動車業界動向レポートを発行しているQuick×Quickでは、全国の共有在庫から中古車を仕入れられます。入会の申込は日本カーネットが受け付け、手続きをご案内します。
よくある質問
- 中古車輸出で人気の車種は何ですか?
- 自動車業界動向レポートの「中古車輸出向け成約車輌ランキング」では、2025年8月号から2026年7月号までの12号のうち、ランドクルーザープラドが12号すべてで5位以内に入り、8号で1位でした。CX-5、ハリアー、ヴェゼル、RAV4も上位の常連です。ランキングはQuick×Quickの成約をもとにした数字で、日本全体の輸出台数の順位とは別のものです。
- 日本からの中古車の輸出台数や輸出先は、どこで確かめられますか?
- 財務省の貿易統計で調べられます。輸出統計品目表では、乗用自動車(第87.03項)がエンジンの種類と排気量ごとに分かれ、その中に「中古のもの」の統計番号が設けられています。たとえば排気量660cc以下のガソリン乗用車の中古は8703.21-915です。品別国別表でこの番号を指定すると、国別の台数と金額を確かめられます。
- 中古車を輸出するとき、国内でどんな手続きが要りますか?
- 登録自動車の所有者は、道路運送車両法第15条の2により、輸出の予定日から国土交通省令で定める期間さかのぼった日から輸出の時までに、輸出抹消仮登録を申請して証明書の交付を受けます。軽自動車は軽自動車検査協会で輸出予定届出証明書の交付を申請します。
- 輸出向けの車は国内の仕入れ相場に影響しますか?
- 輸出向けの需要が強い車種は、業者オークションや共有在庫で輸出業者も買い手になるため、国内の小売向けの仕入れと競り合うことがあります。レポートでは輸出向けランキングと同じ号に業者オークションの平均単価も載っているので、両方を並べて相場の流れを確かめると判断の材料になります。
- 自動車業界動向レポートはどこで読めますか?
- 日本カーネットの資料ページから、2020年5月号以降の各号のPDFをダウンロードできます。各号に載っている数値をテキストでまとめたバックナンバー要約もあり、輸出向けランキングの推移を号ごとに追えます。
- 中古車の仕入れと、整備・車両販売の管理はまとめて考えたほうがよいですか?
- 仕入れた車を販売し、納車前の整備や車検まで行う店では、仕入れの経路だけでなく、車両販売システム(車販ソフト)や自動車整備システム(自動車整備ソフト)で在庫と顧客を管理できるかも確かめると二重入力が減ります。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなし(月払)で始められるかも確認してください。
参考にした一次情報
- 自動車業界動向レポート バックナンバー要約(日本カーネット):https://info-a.j-carnet.co.jp/index.php/jidosha-gyokai-doko-summary/
- 財務省 税関 貿易統計:https://www.customs.go.jp/toukei/info/index.htm
- 財務省 税関 輸出統計品目表 第87類(2026年1月1日版):https://www.customs.go.jp/yusyutu/2026_01_01/data/j_87.htm
- 道路運送車両法(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
- 軽自動車検査協会:https://www.keikenkyo.or.jp/







