中古車の共有在庫とは、サービスに参加している事業者どうしが自社の在庫車を持ち寄り、会員の間で売り買いできるようにした在庫の集まりです。展示場に置いていない車でも、他店の在庫を仕入れの候補として扱えるため、お客様から「この車種が欲しい」と相談されたときの選択肢が増えます。この記事では、クイック・ネットワーク株式会社が運営する業者間取引サービス「Quick×Quick(クイッククイック)」を例に、共有在庫の仕組み、業者オークションとの違い、仕入れまでの流れと費用、使うときの注意点を、利用規約などの一次情報をもとに整理します。
この記事で確認した一次情報:Quick×Quickサービス利用規約(2026年9月1日制定)、Quick×Quickのログイン画面(manager.919919.jp)、クイック・ネットワーク株式会社の会社概要、日本カーネットの共有在庫の案内ページ、e-Gov法令検索(古物営業法)。確認日は2026年10月です。
中古車の共有在庫とは
中古車の共有在庫とは、業者間取引サービスに参加する中古車販売店や整備工場が在庫車の情報を掲載し、ほかの会員がその車を仕入れられるようにした仕組みのことです。仕入れる側から見ると、自社で車を買い込む前に、全国の他店にある車を探して必要な1台だけを仕入れられる点が特徴です。Quick×Quickでは、ログイン後のメニュー「クルマを買う」に「Quick×Quickに登録されている全国の共有在庫から仕入れ可能」と書かれています。最新の在庫数は日本カーネットで相談を受け付けています。参加できるのは古物商許可を持つ事業者に限られ、個人のお客様が直接使うサービスとは違う、プロどうしの仕入れの場です。
Quick×Quickは神戸市のクイック・ネットワーク株式会社が2015年から提供している業者間取引のサービスです。運営会社や機能の全体像はQuick×Quick(クイッククイック)とはで詳しく紹介しています。
共有在庫と業者オークション、自社在庫の違い
共有在庫と業者オークション(AA)は、どちらも事業者向けの仕入れ先ですが、値段の決まり方と仕入れのタイミングが違います。業者オークションは開催日に競りや入札で価格が決まり、落札できるかどうかはその日の競り合いで決まります。共有在庫は、掲載した会員が販売価格を示し、仕入れたい会員が価格を交渉して取引する形です。Quick×Quickでは、この会員どうしの価格のすり合わせを運営会社が間に入って進める形をとっていて、規約上の名前は「車両落札・Quick×商談」です。自社在庫は展示して実車を見せられる反面、売れるまで資金が車に寝てしまいます。どれが良いかは店の売り方で変わるため、下の表で性格の違いを比べてください。
| 比べる点 | 共有在庫(Quick×Quick) | 業者オークション | 自社在庫 |
|---|---|---|---|
| 価格の決まり方 | 掲載価格をもとに会員間で交渉 | 開催日の競りや入札 | 自社で仕入れた原価が決まっている |
| 仕入れのタイミング | 掲載中ならいつでも探せる | 開催日に合わせて参加 | すでに手元にある |
| 実車の確認 | 遠方の車は掲載情報と画像が中心 | 会場の検査情報や下見 | いつでも見られる |
| 資金の負担 | 必要な1台だけ仕入れる | 落札後すぐに代金の支払いが要る | 売れるまで在庫に資金が寝る |
| お客様への提案 | 商談ツールで画面を見ながら提案 | 落札してから提案 | 実車を見せて提案 |
業者オークションと共有在庫は、どちらか一方に絞る必要はありません。業者オークションの入会は、日本カーネットのASNET入会サポートでご案内しています。仕入れルート全体の比べ方は中古車の業販・仕入れルートの比べ方にまとめました。
共有在庫から中古車を仕入れる流れ
Quick×Quickの共有在庫から中古車を仕入れる流れは、在庫を探す、条件を交渉する、取引を確定する、車を運ぶ、名義を変えるの5段階です。ログイン後のメニューには「クルマを買う」のほかに「輸送依頼」と「名義変更依頼」が並んでおり、仕入れた後の実務も同じ画面から依頼できます。輸送依頼には「WEBで簡単料金検索」「オークション会場からの輸送も、個人宅への輸送もお任せください」と書かれ、名義変更依頼は車庫証明、名義変更、抹消登録の電子申請サービスです。会員になってからのIDの入れ方はQuick×Quickのログイン方法をご覧ください。
1. 扱いたい車種を整理する
仕入れたい車種・年式・価格帯を決め、共有在庫で探す条件を整理しておきます。
2. 入会を申し込む
日本カーネットの申込フォームから申し込みます。会員資格の確認と手続きは、申込後に日本カーネットからご案内します。
3. 共有在庫を探して商談する
「クルマを買う」で車を探し、価格や状態の確認をクイック・ネットワークを介して進めます。
4. 取引を確定して代金を支払う
落札の条件と手数料、支払いの期日を確かめてから確定します。
5. 輸送と名義変更を依頼する
「輸送依頼」で店まで運ぶ手配をし、必要なら「名義変更依頼」で登録の手続きを進めます。
仕入れた車を店まで運ぶ段取りは陸送費用の記事に、登録の書類は移転登録の記事にまとめました。
共有在庫の手数料と会員区分
Quick×Quickの共有在庫で仕入れると、車両代金とは別に落札手数料がかかります。一般向けのQuick×Quickサービス利用規約(2026年9月1日制定)の別紙Cには、Quick×ワンプライスの落札手数料が1台18,000円と書かれており、月額会費が無料のQuick会員と、月額18,000円(税別)のQuickプライム会員で同じ金額です。プライム会員は毎月1台目の手数料が無料になる扱いがあり、落札時の輸送代はプライム会員価格になります。県外封印に対応したQuick×名変も、プライム会員は追加料金なしで、Quick会員が使う場合は月15,000円と記載されています。月に何台仕入れるかで、どちらの区分が合うかが変わります。下の金額は一般向けの規約の記載で、実際の条件はお申込み時にご案内します。
| 項目(一般向け利用規約 別紙C) | Quick会員 | Quickプライム会員 |
|---|---|---|
| 月額会費 | 0円 | 18,000円(税別) |
| Quick×ワンプライス落札手数料 | 18,000円/台 | 18,000円/台 |
| 毎月1台目の手数料 | 通常の金額 | 無料 |
| 落札時の輸送代 | 通常価格 | プライム会員価格 |
| Quick×名変(県外封印可) | 15,000円/月 | 無料 |
ここに書いた金額は一般向けのQuick×Quickサービス利用規約(2026年9月1日制定)の記載です。実際の条件はお申込み時にご案内します。
会員区分と申込の手順はQuick×Quickの入会条件と申込方法で詳しく説明しています。
商談ツールで共有在庫をお客様に提案する使い方
Quick×Quickの商談ツールは、共有在庫の車両にマージンを設定し、お客様と一緒に画面を見ながら商談するための機能です。ログイン画面のメニューには「共有在庫車両にマージン設定可能!お客様と一緒に画面を見ながら、商談可能な便利ツール」と書かれています。展示場に希望の車がないときでも、タブレットやパソコンで共有在庫を見せながら、年式や走行距離、色の違う候補を比べてもらえます。たとえば整備で入庫したお客様から乗り換えの相談を受けた場合、その場で3台ほど候補を出し、気に入った1台だけを仕入れる進め方ができます。注意したいのは、共有在庫は他店の在庫でもあるため、お客様と話している間に別の会員が仕入れることがある点です。提案のときに「在庫は変動します」と伝え、決まったら早めに確定するのが安全です。
お客様に見せる前に決めておくこと
マージンを乗せた金額に、輸送代、名義変更の費用、納車前の点検整備の費用が含まれているかを社内で決めておきます。お客様に出す見積と、実際の仕入れ原価の差が分かるようにしておくと、値引きの相談にも落ち着いて答えられます。
共有在庫で仕入れるときの注意点
共有在庫で仕入れるときに注意したいのは、車両の状態の確かめ方、取引のルール、仕入れた後の費用の3つです。共有在庫の車は他県の店に置かれていることも多く、写真の枚数や記載の細かさは掲載した会員によって差があります。気になる箇所は確定ボタンを押す前に質問し、返事を社内で共有しておきます。会員どうしのもめごとは当事者で解決するのが規約の前提なので、取消しの可否や期限といったルールも先に目を通しておきます。費用の面では、車両代金と落札手数料のほかに、輸送代、名義変更の費用、納車前の整備費用がかかります。仕入れた車を売るときは、古物営業法の第16条に沿って、取引の年月日や古物の特徴などを帳簿等に記録します。業者間取引の注意点は中古車の業者間取引で注意することで詳しく取り上げています。
| 注意すること | 確かめる方法 |
|---|---|
| 車両の状態 | 掲載情報と画像を見て、修復歴や傷、装備で分からない点を確定前に問い合わせる |
| 在庫の変動 | お客様に提案するときは在庫が動くことを伝え、決まったら早めに確定する |
| 取引のルール | キャンセルや支払いの期日など、サービス内のルールを事前に読む |
| 仕入れ後の費用 | 輸送代、名義変更、納車前整備を含めた原価で売値を決める |
| 古物商の記録 | 取引の年月日、車の特徴、相手方などを帳簿等に記録して3年間保存する |
Quick×Quickの共有在庫を使える事業者と契約期間
Quick×Quickの共有在庫を使えるのは、中古車を扱う古物商で、インボイスの登録を済ませた事業者です。ログイン画面には、インボイス制度の施行に合わせて、ログイン時に適格請求書発行事業者番号の入力が必須になったと案内が出ています。契約の期間は規約で決まっていて、登録日から1年間を1単位とし、満了の30日前までにどちらからも申し出がなければ同じ期間で自動的に続きます(第14条)。最初の1年間は最短利用期間で、その途中でやめる場合は残りの期間の料金をまとめて払う定めがあります(第15条)。やめるときは、解約したい月の前の月の20日までに伝えると、その月の末日で契約が終わります(第16条)。無料のQuick会員で始め、仕入れの台数が増えてきたらプライム会員を検討するという順番でも構いません。これから許可を取る段階の方は、古物商許可と中古車販売の始め方から読むと準備の順番が分かります。
会員資格の細かな条件と、申込の流れは入会条件と申込方法のページでまとめて説明しています。
Quick×Quickの入会申込
共有在庫で仕入れたい車種や、月に何台くらい仕入れる予定かをお知らせください。日本カーネットが申込を受け付け、会員区分の選び方と入会の手続きをご案内します。
よくある質問
- 中古車の共有在庫とは何ですか?
- サービスに参加している事業者が自社の在庫車を掲載し、ほかの会員がその車を仕入れられるようにした在庫の集まりです。Quick×Quickの場合は、ログインして「クルマを買う」を開くと、全国の会員が登録した車を年式や車種で探せます。
- 入会する前に共有在庫を見られますか?
- 共有在庫から車を探して仕入れるには入会が必要です。入会前に在庫の様子や画面について知りたいことがあれば、お申込みの際に日本カーネットへご相談ください。
- 共有在庫から仕入れると手数料はかかりますか?
- かかります。2026年9月1日制定の利用規約の別紙Cでは、Quick×ワンプライスの落札手数料は1台18,000円で、Quick会員とQuickプライム会員で同じ金額です。輸送代や名義変更の費用は別にかかります。これは一般向けの利用規約の金額で、実際の条件はお申込み時にご案内します。
- 共有在庫の車は実車を見てから決められますか?
- 共有在庫は他の会員の店にある車なので、遠方だと実車を見ずに決めることが多くなります。気になる点は、仕入れを決める前に掲載内容と画像で確かめ、分からないことは商談の段階で問い合わせてください。確認の方法や費用の扱いは、入会後に日本カーネットからもご案内します。
- 共有在庫の車を、仕入れる前にお客様へ見せてもよいですか?
- Quick×Quickには、共有在庫の車にマージンを設定し、お客様と画面を見ながら商談するための商談ツールがあります。ただし共有在庫は他店の在庫でもあるため、話している間に別の会員が仕入れることがあります。お客様には在庫が動くことを伝え、決まったら早めに取引を確定してください。
- 中古車の仕入れと、整備・車両販売の管理はまとめて考えたほうがよいですか?
- 仕入れた車を販売し、納車前の整備や車検まで行う店では、仕入れの経路だけでなく、車両販売システム(車販ソフト)や自動車整備システム(自動車整備ソフト)で在庫と顧客を管理できるかも確かめると二重入力が減ります。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなし(月払)で始められるかも確認してください。
参考にした一次情報
この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月確認)。
- Quick×Quick サービス利用規約(2026年9月1日制定):https://www.919919.jp/avn/PDF/quickquick_userpolicy.pdf
- Quick×Quick ログイン画面:https://manager.919919.jp/
- クイック・ネットワーク株式会社 会社概要:https://quicknetwork.co.jp/company/
- e-Gov法令検索 古物営業法:https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000108
- 日本カーネット 中古車仕入・共有在庫の案内ページ(日本カーネット提供資料)







