中古車販売を始めるには、まず古物営業法にもとづく古物商許可を取り、そのうえで仕入れのルートと販売の体制を整えます。中古車は古物営業法で「古物」に当たり、買い取って売る営業には都道府県公安委員会の許可が要るためです。この記事では、これから中古車販売を始める事業者や、整備工場で車の販売を始めたい方に向けて、古物商許可の申請先と必要書類、許可を取った後に守る義務、インボイス登録、業者オークションや共有在庫で仕入れるまでの準備を、法令と警察、国税庁の一次情報で順に整理します。
この記事で確認した一次情報:e-Gov法令検索(古物営業法、古物営業法施行規則)、警視庁「古物商許可申請」、国税庁 適格請求書発行事業者公表サイト、Quick×Quickサービス利用規約(2026年9月1日制定)、株式会社オートサーバーのASNET入会案内。確認日は2026年10月です。
中古車販売に古物商許可が必要な理由
中古車販売に古物商許可が必要なのは、古物営業法が一度使用された物品を「古物」と定め、古物を売買する営業を許可制にしているからです。第2条は「古物」を、一度使用された物品や、使用されない物品で使用のために取引されたものなどと定義しています。そのうえで第3条は、古物の売買などの営業を営もうとする者は都道府県公安委員会の許可を受けなければならないとしています。許可を受けずに営業すると、第31条により3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です。古物営業法施行規則の第2条は古物を13の区分に分けており、中古車は「自動車(その部分品を含む。)」の区分に入ります。業者間取引のサービスも許可を前提にしていて、Quick×Quickは利用規約の第8条で、古物商許可証(自動車)を所持する中古車取扱事業者であることを会員資格の1つ目に挙げています。
| 法令の条文 | 定めている内容 |
|---|---|
| 古物営業法 第2条 | 「古物」と「古物営業」を定義している |
| 古物営業法 第3条 | 古物営業を営むには公安委員会の許可が要る |
| 古物営業法 第13条 | 営業所ごとに管理者を1人選ばなければならない |
| 古物営業法 第15条、第16条 | 取引の相手方を確認し、帳簿等に記録する |
| 古物営業法 第31条 | 無許可営業は3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
| 施行規則 第2条 | 古物を13区分に分け、中古車は「自動車(その部分品を含む。)」に入る |
古物商許可の申請先と必要書類
古物商許可の申請は、主たる営業所の所在地を管轄する警察署で行います。警視庁の「古物商許可申請」の案内では、申請先は主たる営業所の所在地を管轄する警察署(防犯係)、手数料は19,000円です。必要書類は個人と法人で違い、個人は許可申請書、略歴書、本籍が記載された住民票の写し、誓約書、身分証明書を、本人と営業所の管理者の分そろえます。法人は定款と登記事項証明書に加え、役員全員と管理者の分の略歴書、住民票の写し、誓約書、身分証明書が要ります。ホームページで取引をする場合は、URLを使う権限があることを示す資料も添えます。住民票の写しや身分証明書は役所で取り寄せる書類なので、管理者の分も含めて早めに準備しておくと申請がスムーズです。審査にかかる期間は案内に書かれていないため、管轄の警察署で確かめてください。
| 必要書類(警視庁の案内) | 個人 | 法人 |
|---|---|---|
| 許可申請書 | 本人 | 法人 |
| 定款、登記事項証明書 | 不要 | 必要 |
| 略歴書 | 本人と管理者 | 役員全員と管理者 |
| 住民票の写し | 本籍が記載されたもの(本人と管理者) | 役員全員と管理者 |
| 誓約書 | 本人と管理者 | 役員全員と管理者 |
| 身分証明書 | 本人と管理者 | 役員全員と管理者 |
| URL使用権限疎明資料 | ホームページで取引する場合 | ホームページで取引する場合 |
中古車販売の営業所と管理者の要件
古物商は、営業所ごとに業務を適正に行う責任者として管理者を1人選ばなければなりません(古物営業法 第13条第1項)。未成年者や、第4条の欠格事由に当たる人は管理者になれません。中古車を扱う営業所では、管理者に求められる知識も具体的に決まっています。古物営業法施行規則の第14条は、自動車を扱う営業所の管理者について、不正品の疑いがある自動車の車体や車台番号の打刻部分に改造などがあるか、あるならどの程度かを判定するのに必要な知識、技術、経験を挙げ、その業務に3年以上従事した者が通常持ち、団体の講習の受講などで得られるものとしています。古物商は管理者にこうした知識を得させるよう努める義務があります(第13条第3項)。営業所には、公衆の見やすい場所に所定の様式の標識を掲示します(第12条)。整備工場で中古車販売を始める場合も、販売を行う場所を営業所として申請し、管理者を決めておきます。
古物商許可を取った後の義務(確認、記録、保存)
古物商許可を取った後は、取引のたびに相手方の確認と帳簿等への記録を行い、記録を3年間保存する義務があります。第15条第1項は、古物を買い受けるときなどに、相手方の住所、氏名、職業、年齢を確認するなどの措置をとるよう定めています。対価の総額が1万円未満の取引は確認が要らないという例外がありますが(施行規則 第16条)、中古車の取引は通常この金額を超えるため、毎回確認する前提で手順を決めておくと迷いません。第16条は、取引の年月日、古物の品目と数量、古物の特徴、相手方の住所や氏名など、確認の方法の区分を帳簿等に記録するよう定め、自動車はこの記録を省略できない古物に入っています(施行規則 第18条)。帳簿等は最終の記載をした日から3年間、営業所に備え付けて保存します(第18条)。不正品の疑いがある車を見つけたときは直ちに警察官に申告し(第15条第3項)、警察から品触れを受けたら到達の日付を書いて6か月間保存します(第19条)。
| 義務 | 条文 | 中古車販売での実務 |
|---|---|---|
| 相手方の確認 | 第15条第1項 | お客様から買い取るときに住所、氏名、職業、年齢を確かめる |
| 不正品の申告 | 第15条第3項 | 車台番号の打刻などに不審な点があれば警察官に申告する |
| 帳簿等への記録 | 第16条 | 取引の年月日、車の特徴(車台番号など)、相手方を記録する |
| 記録の保存 | 第18条 | 最終の記載をした日から3年間、営業所に保存する |
| 品触れの保存 | 第19条 | 到達の日付を記載し6か月間保存する |
| 標識の掲示 | 第12条 | 営業所の見やすい場所に掲示する |
インボイス登録と業者間取引
業者間取引では、古物商許可に加えて、適格請求書発行事業者(インボイス)の登録を求められることがあります。Quick×Quickは利用規約の第8条で、適格請求書発行事業者であることを会員資格の2つ目に挙げています。ログイン画面でも、インボイス制度の施行に合わせて、ログインには適格請求書発行事業者番号の入力と、登録通知書か国税庁公表サイトの画像の登録が必須と案内しています。取引の相手が登録しているかどうかは、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで、Tを除く13桁の登録番号を入れて調べられます。事業者どうしの取引では、仕入れ側が仕入税額控除を受けるために相手の登録を確かめることが多く、登録していないと取引できる相手やサービスが限られることがあります。これから開業する方は、古物商許可の申請と並行して、税務署への登録手続きも進めておくと仕入れを始めるまでの時間を短くできます。
中古車販売を始める手順
中古車販売を始める手順は、古物商許可、インボイス登録、仕入れルートの確保、販売と整備の体制づくりの順に進めると無駄が出にくくなります。許可が下りる前に車を仕入れて売ると無許可営業になるため、営業所と管理者を決めて申請し、許可証を受け取ってから仕入れを始めます。仕入れルートは、業者オークション、共有在庫、業販サイト、お客様からの買取が中心です。業者オークションのASNETは入会費と月会費が無料で、手続きに1〜2週間程度かかると案内しています。共有在庫のQuick×Quickは、一般向けの利用規約(2026年9月1日制定)ではQuick会員の月額会費が無料、Quickプライム会員が月額18,000円(税別)です。実際の条件はお申込み時にご案内します。販売を始めたら、仕入れた車の記録を帳簿等に残し、名義変更と納車前の点検整備まで含めた原価で売値を決めます。
1. 営業所と管理者を決める
営業所ごとに管理者を1人選びます。自動車を扱う管理者に求められる知識も確かめます。
2. 古物商許可を申請する
主たる営業所を管轄する警察署に、区分「自動車」で申請します(警視庁の案内では手数料19,000円)。
3. インボイス登録を済ませる
業者間取引のサービスによっては会員資格になります。
4. 仕入れルートに入会する
業者オークションはASNET入会サポート、共有在庫は当サイトからQuick×Quickに申し込めます。
5. 帳簿と販売の体制を整える
取引の記録、名義変更、納車前整備の段取りを決めて販売を始めます。
仕入れルートの違いは中古車の業販・仕入れルートの比べ方、共有在庫の使い方は中古車の共有在庫とは、業者間取引の注意点は中古車の業者間取引で注意することをご覧ください。Quick×Quickの会員資格と申込の流れはQuick×Quickの入会条件と申込方法にまとめています。
Quick×Quickの入会申込
古物商許可(自動車)とインボイス登録が済んだら、共有在庫での仕入れも検討してみてください。日本カーネットが申込を受け付け、入会の手続きをご案内します。開業準備中の方のご相談も受け付けています。
よくある質問
- 中古車販売に古物商許可は必ず要りますか?
- 中古車を買い取ったり仕入れたりして売る営業には、古物営業法の第3条にもとづき、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可が要ります。許可を受けずに営むと、第31条により3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です。自分の車を1回売るような場合は営業に当たらないため、迷うときは管轄の警察署に相談してください。
- 古物商許可の申請はどこで、いくらかかりますか?
- 警視庁の案内では、申請先は主たる営業所の所在地を管轄する警察署(防犯係)で、手数料は19,000円です。東京都以外でも申請先は営業所を管轄する警察署ですが、書類の細かな扱いは各都道府県警察の案内で確かめてください。
- 古物商許可の申請で「自動車」を選ぶ必要がありますか?
- 許可申請書には主に取り扱う古物の区分を書きます。古物営業法施行規則の第2条は古物を13の区分に分けており、その1つが「自動車(その部分品を含む。)」です。中古車を扱うなら自動車の区分を選びます。業者間取引のQuick×Quickは、会員資格を古物商許可証(自動車)を所持する中古車取扱事業者としています。
- 中古車販売店の管理者にはどんな知識が求められますか?
- 古物営業法施行規則の第14条は、自動車を扱う営業所の管理者について、不正品の疑いがある車の車体や車台番号の打刻部分に改造などがないかを判定するための知識、技術、経験を求めています。業務に3年以上従事した者が通常持つ程度のもので、団体が行う講習の受講などで得られるとされています。
- 古物商許可を取ればすぐに業者オークションや共有在庫を使えますか?
- 許可は前提条件で、各サービスの入会手続きが別に必要です。ASNETは入会審査を経て会員番号が発行され、手続きに1〜2週間程度かかると案内しています。Quick×Quickは古物商許可証(自動車)に加え、適格請求書発行事業者であることも会員資格です。
- 中古車の仕入れと、整備・車両販売の管理はまとめて考えたほうがよいですか?
- 仕入れた車を販売し、納車前の整備や車検まで行う店では、仕入れの経路だけでなく、車両販売システム(車販ソフト)や自動車整備システム(自動車整備ソフト)で在庫と顧客を管理できるかも確かめると二重入力が減ります。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなし(月払)で始められるかも確認してください。
参考にした一次情報
この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月確認)。
- e-Gov法令検索 古物営業法:https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000108
- e-Gov法令検索 古物営業法施行規則:https://laws.e-gov.go.jp/law/407M50400000010
- 警視庁 古物商許可申請:https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kobutsu/tetsuzuki/kyoka.html
- 国税庁 適格請求書発行事業者公表サイト:https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/
- Quick×Quick サービス利用規約(2026年9月1日制定):https://www.919919.jp/avn/PDF/quickquick_userpolicy.pdf
- Quick×Quick ログイン画面:https://manager.919919.jp/
- 株式会社オートサーバー ASNET入会のご案内:https://www.autoserver.co.jp/admission/







